子供の脳活

自律神経症状には漢方で立ち向かう

不安が続くと自律神経症状を引き起こす。

私たちは危険を感じると、戦うか逃げるかという神経(交感神経)が緊張するのですが、その危険が去れば、またリラックスすることができます。ところが脳に余裕がないと交感神経は極度に緊張し、しかもなかなかリラックスモードになれません。交感神経の緊張が続くと、寝ていても体は起きているという状態になるのです。体の緊張がほぐれることはなく、胃腸の働きが悪くなり、疲れやすくなります。そして消化吸収の働きが鈍くなったり、止まってしまうこともあります。だから腹痛や、腹鳴り、吐き気のような消化器症状を訴えるのです。訴えがなくとも、消化器の働きは微妙に悪くなっているはずなのです。口内炎に悩まされていたり、好き嫌いが激しく、味覚障害や味覚過敏が多いのも彼らの特徴のひとつと言えるのです。

記憶の強化が症状の悪化を生む。

人の神経は同じ類の刺激が繰り返されることで、その神経回路の結びつきがさらに強化されます。計算ドリルや九九の暗記などで分かるように、訓練すると条件反射的に体が反応します。不登校の子供たちがよく訴える胃腸症状もその一つ。もともと過敏になっているので、リラックスする神経はストップしているため、「おなかが痛くなる」「お腹がギュルギュル鳴る」「吐き気がする」などといった胃腸症状が出やすくなっているのです。「登校」という緊張が「腹痛」となって表れます。強い刺激であればあるほど条件反射の神経回路は強く記憶されることになるため、脳に余裕がない状態での強制的な登校刺激は、短期間で「登校→腹痛」という強い結びつきをつくってしまいます。

学校に行けたとしても、過敏な脳は恐怖を感じやすくなっているため「何か悪口を言われているような気がする」「意地悪をされているような気がする」「先生が私ばかりにキビシイ!」「友達が悪口を言う」「いじめられている」などの被害妄想的な気持ちが強くなります。
これをくりかえすと「学校=被害妄想的な気持ち」という神経回路の結びつきが強化されるのです。だからこそ安易な登校刺激には注意が必要です。

男の子が不登校の場合、特に父親が強く登校を強制する傾向があります。学校に行くことで、両親は安心しますが、結果として、不登校に関連する神経回路のつながりを「より早く」そして「強く」結びつけてしまいます。朝、「お腹が痛い」と本人が訴えているときに、「学校に行きたくないからそんなことを言っているんだろう!さっさと学校へ行け!」といったことが続くと、「登校=腹痛」という神経回路の結びつきが強化され、結果的に、朝ますますおなかが痛くなるのです。

漢方薬で自律神経症状に対処。

脳の消耗は適切な栄養補給で地道に改善していくことができます。しかし目の前にある苦痛として、腹痛や腹鳴り、吐き気などの自律神経症状は、とうぜん放置しておくことはできません。
これらの自律神経症状は脳の神経細胞が結びつきを強化した結果の症状なので、想像以上の長い年月を要して確立されています。症状の緩和は比較的早く見られますが、自覚症状が完全になくなるにはそれ相応の時間がかかることを理解しておく必要があります。
自律神経症状は、彼らの情緒が混乱していたからこそ症状として表れています。つまり情緒の混乱を先に解決してあげることができて初めて、漢方薬がとても意味を持つのです。逆に言うと、優先順位を間違えてしまうとせっかくの良い漢方薬もその場しのぎ的な物になってしまいます。今後の食生活も含めた適切な対処が不可欠です。

漢方薬はミラクルを起こさない。

一つひとつの症状だけを見るだけで、カラダ全体の不調と向き合わなければ、それは何も解決しません。病院における漢方薬の処方はとても西洋的です。つまり単に症状に合わせて漢方薬を処方するだけでおしまいというケースが多く、これは東洋的な漢方の仕事とは似て非なるものだと思います。また、漢方には4000年の歴史がありますが、現代と4000年前ではその時代背景が全く違います。60年ほど前まではその古典的な処方が通用したかもしれませんが、とくにこの20年で私たちの生活環境は驚くほど変化しました。つまり、漢方処方に対する考え方にも変化が必要なのです。

現代人は電化製品に囲まれ、空調の整った場所で育ち、腐らないように処理されて輸入された作物を食べ、加工食品をたくさん摂りつづけ、成長ホルモンや抗生物質を配合飼料で与えられた家畜の肉や乳製品を食べています。仕事の環境も変化し、生活リズムや人生観も多様になりました。こんな環境で育った私たちだからこそ、昔の人達とはその漢方思想のベースが違っていると私たちは考えます。そして、こういったことまで含めて考えるのが私たち専門家の仕事であり、単に病名だけで古典的な漢方薬を処方する病院との違いでもあります。

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