依存から自立へ
宮崎薬局では70余年にわたり漢方相談、健康の悩みのご相談を受けてきました。世の中にはつらい症状を即時的に緩和する方法もあれば、身体をじっくりと立てなおす方法もあります。様々な医療や健康づくりの情報があふれている現代では、いわゆる「応急処置」と「からだづくり」を分けて考え、それらをわかりやすく整理して差し上げることが、私たちにいま最も必要なことだと思っています。
現在の医療はどの部分をとってもかなり高度化し複雑化しているために、一般的には侵しがたいブラックボックスのようなイメージが強いような感じがします。すべて「専門家」に任せるべきという風潮の中、軽医療ですら丸投げ状態になりがちです。家庭の中で両親が行う応急処置の文化が退化しているだけでなく、本来家庭が担うはずの日々のからだづくりの実践もほとんどできていないような気がするのです。
医療は人の上に君臨するものではなく、生活者によって利用されるものでなければならないと私は思っています。漢方には2000年以上にわたって人間全体の観察を続けてきた東洋医学の知恵が詰まっています。皆様の子や孫にまで安心して伝えられる「家庭の健康づくり」の手助けになること、そして「必要なときは高度医療を利用する」という自立した姿勢を確立するお手伝いができることを願っています。